心臓血管集中治療室について

心臓血管集中治療室について

宮崎市郡医師会病院の心臓血管集中治療室(CCU)は、心臓血管系の救急・重症疾患や、心臓血管外科の手術後といった集中治療を必要とする患者さんが入室する病棟です。
病床数は14床からなり、2024年には729名の患者さんが集中治療室で治療を受けています。

対象疾患

主に以下のような疾患がCCUに入室する対象疾患として挙げられます。

  • 重症心不全
  • 急性冠症候群
  • 肺塞栓症
  • 致死的不整脈
  • 大動脈疾患(大動脈解離や大動脈瘤など)
  • 劇症型心筋炎やたこつぼ型心筋症など
  • 心臓血管外科術後
  • TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)後
  • MitraClip(経カテーテル的僧帽弁形成術)後 など

治療体制

循環器内科医26名、心臓血管外科医3名、看護科、リハビリテーション科、栄養科が毎朝CCUのカンファレンスに参加します。カンファレンスの後、循環器内科、心臓血管外科がそれぞれの担当患者さんを毎朝回診しています。
当院では外来や一般病棟の主治医がCCUでも主治医として対応するopne CCUの体制をとっているため一貫した治療を行うことができ、患者さんやご家族にとって安心感がある環境です。
さらに集中治療室に特有の専門性の高い機器が導入される場合も多く、特にそのような重症な患者さんに対しては集中治療専門医がバックアップする体制となっています。

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診療設備

人工呼吸器や人工透析機器をはじめ、IABP、Impella(経皮的循環補助機器)や、ECMO(人工心肺装置)などを駆使し救命のため最善の治療を実施しています。

IABP

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画像提供:泉工医科工業株式会社

図1に示すように、心臓の収縮、拡張のタイミングに合わせて風船を膨らませたり縮ませたりします。そうすることで心臓の負荷を軽減したり、心臓を含めた臓器の血流を改善したりすることで効果を発揮します。
心筋梗塞や心不全、心臓血管外科の周術期に用いることがあります。2024年には年間96台のIABPが使用されました。

ECMO

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画像提供:泉工医科工業株式会社

当院のCCUで用いるのは、VA-ECMOといって心臓と肺の代わり(人工心肺)をしてくれる機器です。図3に示すように、血液を体内から取りだし、人工肺でガス交換された血液を勢いよく体内に戻すことで体内の血液の循環や酸素化を保ちます。
2024年には34台のVA-ECMOが使用されました。

  1. 脱血カニューレ:患者さんの体内から血液を取り出すため、血管と回路を接続する太い管。
  2. 脱血回路:患者さんから脱血された血液が流れるチューブ。
  3. 遠心ポンプ:遠心力を使い、血液を脱血したり、送血したりするポンプ。
  4. 人工肺:生体の肺のガス交換機能を代行する役割。
  5. 送血回路:人工肺にてガス交換された血液が流れるチューブ。
  6. 送血カニューレ:患者さんの体内へ血液を戻すため、血管と回路を接続する太い管。

Impella

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図2に示すように心臓の中の血液を小型のポンプで汲み出し、大動脈に流すことで生理的な血液の流れのまま、全身に血液を送ることができます。
さらに心臓の負担を大幅に軽減できます。重篤な心筋梗塞や心不全に用いることがあり、2024年には11台のImpellaが稼動しました。

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