経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN FLX™)

当心臓病センターは、経皮的左心耳閉鎖術(Watchman)の実施施設です

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認定証

心房細動と脳卒中のリスク

心房細動は心臓の上部にある部屋(心房)が小刻みかつ不規則に拍動(細動)する不整脈です(図1)。この心房細動によって脳卒中のリスクが高くなるといわれており、実際に心房細動がある人は心房細動がない人に比べて5倍多く脳卒中が発症しやすいことがわかっています。

心房細動によって心拍が不規則になり、心臓内の血流によどみが出来てしまいます。そうすると、心臓内に血の塊(血栓)が生じることがあり、血栓が生じる部位の99%が「左心耳」という心臓の盲端の部分(袋小路の部分)と言われています。その「左心耳」から血栓が浮遊して、血流にのってしまうと、脳の血管が詰まることで広範な脳梗塞が発症します。

<図1>

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抗凝固療法と出血リスク

心房細動による脳梗塞予防として抗凝固療法(内服治療)が行われます。これにより左心耳血栓の形成が抑制され脳梗塞リスクは低下しますが、一方で出血リスク(脳出血や消化管出血などのリスク)が高くなります。一旦出血すると抗凝固療法が継続しづらくなることがあります。

経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)

経皮的左心耳閉鎖デバイス WATCHMAN™は、2019年9月に保険適応になった心房細動を有する患者さんにおいて脳梗塞を予防することを目的としたカテーテル治療です。WATCHMAN™からWATCHMAN FLX™、さらにWATCHMAN FLX™ Proとデバイスの改良が重ねられ、より高い安全性、有効性が担保されるようになってきました。(図2)

<図2>

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治療は全身麻酔下で行います。足の付け根(そけい部)の静脈からカテーテルを挿入し左心耳にWATCHMAN FLX™ Proを留置することで「左心耳」を閉鎖します。(図3)
「左心耳」が閉鎖されることで、脳梗塞のリスクを抗凝固療法と同等に下げながら、抗凝固薬を中止することで出血リスクを軽減することができます。

<図3>

販売名:WATCHMAN FLX 左心耳閉鎖システム  医療機器承認番号:30200BZX00383000
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経皮的左心耳閉鎖術デバイス WATCHMAN™の対象となる方

心房細動に関連して長期の抗凝固療法が必要であるが、抗凝固薬の長期間の内服が困難と考えられる患者さんが対象となります。具体的には、脳出血や消化管出血をおこしたことがある患者さん、血液さらさらのお薬を複数飲んでいる患者さんが対象となります。他にも、腎臓や肝臓の機能が弱っている方、脳梗塞を起こしたことがある方、血圧コントロールが不良な方、お酒をよく飲む方やご高齢な方が対象となることがあります。

本治療に関するご相談・ご質問については、かかりつけ医の先生と相談の上、当院循環器内科までご連絡ください。