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モービルCCU Mobileccu

モービルCCUの導入について

宮崎県医療計画の中で、当院の心臓病センターは特に急性心筋梗塞の診療の一環として、心臓病センターの人員体制の拡充、医療機器の新規導入、更新等の整備を行いました。また、宮崎県内の心疾患による死亡率減少を目的として、県全域の医療機関との間にネットワークを構築するために、平成24年10月よりドクターカー(モービルCCU)を導入することとなりました。

モービルCCUとは

モービルCCUとは、「Mobile Coronary Care Unit」の略で、「移動する冠動脈疾患集中治療室」のことです。

冠動脈は心臓の筋肉に酸素やエネルギーとなる栄養を届ける重要な血管です。この血管が狭くなったり閉塞したりすると狭心症や急性心筋梗塞になり、できるだけ早く高度な治療ができる病院に搬送しなければなりません。モービルCCUは、このような患者が発症した場合、循環器内科医と看護師が同乗して、当センターへ緊急搬送する24時間体制のドクターカーのことです。車体は従来の消防局救急車より全長・横幅・高さとも大きく、そのため特殊な医療機器(大動脈内バルーンパンピング、経皮的人工心肺など)を使用している患者の搬送が可能です。その他、救急蘇生に必要な医療器具や薬剤が常備されていて、搬送中の患者の急変にも適確に対応できます。

モービルCCUにて救命しえた症例について

患者は60歳代女性、意識消失発作と一過性四肢麻痺にて近くの病院へ救急搬入。既往症として、高血圧症にて近医で加療中であった。意識レベルはI-10(JCS)で血圧が190台から65まで低下。上肢の血圧に左右差を認めた。頭部CT検査では、異常は認めなかったが、胸部CT検査にて上行大動脈の拡大、flap、心嚢液貯留を認め、急性大動脈解離(Stanford A)と診断。当院から54㎞離れた施設からの依頼で、モービルCCUが出動したのは23:30。現地到着は0:26。10分後に患者を車内収容。血圧は76/46、心拍数は71で、心タンポナーデと診断して、心嚢ドレナージ施行(100ml排液)。その後、0:56に現地を出発して、心エコー、CVライン、薬剤投与を行いながら、当院へは2:30に到着。帰院時の血圧は102/69、心拍数は69と安定していた。

搬送中、医師が緊急手術の可能性が高いと判断し、到着時間に合わせて外科スタッフが召集され、緊急開胸手術を施行。患者は第45病日、無事退院。本例は、出動から帰院まで3時間を要しましたが、搬送中、ドレナージ治療を行い血行動態が安定した状態で、到着後直ちに心臓血管外科へ引き継ぎ、救命することができました。

急性劇症型心筋炎の患者さんの救命について

2016年に心室循環補助装置(人工心臓)の装置が必要な急性劇症型心筋炎の患者さんを自衛隊ヘリコプターとのランデブーにより、当院から九州大学病院へ搬送し、救命することができました。

宮崎県防災救急ヘリコプター「あおぞら」との連携を確認し、循環器重症患者のヘリコプター搬送の準備を整えています。

今後の展望

モービルCCUの出動回数は月平均5回と少なく、まだまだ県内に十分浸透していない感はありますが、当院センターの急性冠症候群カテーテル治療数は年々増加しており、少しでも宮崎県の急性心筋梗塞死亡率減少に貢献できればと考えています。出動地域については、近くに循環器疾患基幹病院のある地域では、当院搬送までの時間を考えれば、まず同施設への搬送が望ましいでしょうが、緊急カテーテル治療ができない地域や高度治療を必要とする患者に関しては、このモービルCCUの役割は十分あると思います。その際、より搬送時間の短縮が求められる場合は、ドクターヘリや地元救急車とのランデブー走行は選択枝の一つです。

今後も引き続き、地域の医療機関と協力し合って、県内のできるだけ多くの心臓病患者が適切な医療が受けられるよう努力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

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