会長挨拶

 川名隆司会長の後任として宮崎市郡医師会会長を拝命いたしました。理事として6年間、副会長として10年間宮崎市郡医師会運営に携わってきましたが、医師会の事業全体を俯瞰したことはありませんでしたので、改めて医師会事業の守備範囲の広さと内容の深さに畏敬の念を禁じ得ません。

 

 川名執行部の10年間の業績の中でも特筆すべき事業は宮崎市郡医師会の公益社団法人移行と宮崎市郡医師会諸施設の建て替え整備事業の二つです。

 

 公益社団法人に移行したことにより、宮崎市郡医師会は厳しい基準をクリアした安心できる団体と認められ社会的信頼が厚くなりました。行政との信頼関係も深められたと感じています。また税制的にも優遇されると共に寄附金が税制上の優遇措置を受けられるために、寄附金が集まりやすくなりました。その結果として医師会病院と看護学校の建て替えに合計6,200万円以上の寄附を会員の先生方から受けることができました。ご寄附を賜りました会員の先生方には心より感謝いたします。

 

 宮崎市郡医師会諸施設の建て替え整備事業の苦労については川名前会長、山村前副会長が様々な稿で述べられています。建て替えについては川名執行部の建設推進委員会が発足する以前、中村執行部の将来構想委員会の発足から始まりますので、実に10年以上の構想の実現ということになります。始まりは頂が雲の上にあり麓からは見えないような遙か先のゴールであったような気がします。2011年の東日本大震災をきっかけに建て替える場所の方向性が決まり、後は一挙に流れるように進んだ印象がありました。もちろん解決しなければならない問題は次々と起こり、一つ一つ解決しながら歩を進めていくうちに頂にたどり着いたという感じでしょうか。建て替えにあたり強いリーダーシップを示していただいた戸敷前宮崎市長、新しい病院で気持ちよく働くために様々な建設的な意見を出していただいた職員の皆様、それを集約し具現化した担当職員、設計施工の方々など、実現に関わった全ての人々に感謝いたします。新病院の祝賀会は新型コロナ感染症流行のために行われませんでしたが、終息状況をみながら数年のあいだには何らかの形で感謝を示すことができたらと考えています。

 

医師会の事業を具体的にみますと、公益目的事業として、

1)二次救急・地域医療連携を中核とする開放型病院(宮崎市郡医師会病院)の運営、

2)夜間及び休日の救急医療、

3)臨床検査センター運営事業、

4)成人検診、予防接種、学校検診などの地域住民の健康増進に寄与する事業、

5)看護師・准看護師養成事業、

6)地域包括ケア推進センター運営事業があります。

その多くが宮崎市郡からの補助金や委託事業、並びに会員の積極的な参加で成り立っています。しかし、予算と私たちの資源は限度があり、限られた予算と医療資源を最大限に活用する制度の確立こそが私たち医師会執行部に求められているものです。そのためには川名前会長がいつも唱えられていた「官(行政)民(四師会など)学(宮崎大学)の連携」を緊密にすることが必要です。公益社団法人化と宮崎市郡医師会病院を中心とした生目の杜医療防災拠点整備で医療の力を発揮する土台ができました。その上に行政と大学の協力を得ながら住民と医療現場が安心できる医療体制を提供することができるのか、私たち執行部の力が試されるときが来ました。会員の皆様方には今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

R4年6月25日