会長挨拶

新体制への移行を目前に、令和2年度の幕開けをこのような状況で迎えることになろうとは想像だにしませんでした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に対し、3月11日WHOは、パンデミック宣言を発しました。本邦においては、国がCOVID-19対策専門家会議の指針に沿った施策を打ち出し、私どももその意図を理解し粛々と取り組んでいるところです。3月26日に「蔓延の恐れが高い」との報道がありましたが、かろうじて爆発的感染拡大(オーバーシュート)には至らず踏み止まっているのは、欧米諸国とは一線を画す、ヘルスリテラシーに優れた国民性ゆえではないでしょうか。

COVID-19疑い患者に関して現時点では、診療時に標準予防策(サージカルマスク装着+手指衛生)を講じていれば、検体採取を行わない限り濃厚接触とはならず、休診の必要はありません。また、以前の通達文書で、帰国者・接触者外来でのPCR検査にはインフルエンザ、肺炎球菌、マイコプラズマ等の検査を先行することを求めたものがありましたが、現在それらは必須ではなく、医師が総合的に判断してCOVID-19を疑う場合は他疾患の除外診断が無くてもPCR検査の対象とすることになっています。また、患者が発熱や上気道症状を有しているということのみを理由に、当該患者の診療を断ることは、応招義務を定めた医師法の「診療を拒否する正当な事由」には該当しませんのでご留意ください。終息の予測は未だつきませんが、有効な治療薬やワクチンの開発、普及を信じて粘り抜くしかないと考えます。

今年度は、宮崎市郡医師会の長い歴史の中でも極めて重要な一年になります。平成25年の定時総会で承認された、足掛け7年にわたる本会諸施設の移転建替整備事業はこの6月に完了、そしていよいよ8月から新体制が稼働する予定です。その際に心掛けるべき重要なポイントについては、新年例会のご挨拶で申し上げました。即ち「医師会病院を始めとする諸施設の移転をトラブルなくスムーズに行うこと」と「本会が運営する公益目的事業を『地域の実情』に即して行うこと」です。

医師会病院に関しましては、運営方針の2つ目に掲げた「常時、患者さんを収容、治療できる体制をとり、転送患者を全て受け入れる」、この条項を医師始め全職員が再認識するよう通達しました。特にネックになっていた内科については、4月1日付けで総合内科医が1名赴任し2人体制となります。これに呼吸器内科1名、救急科3名(8月から4名)が加わることで、心血管疾患以外の内科疾患への幅広い受入れが期待され、「会員医療機関からの紹介を断らない」診療体制を目指す所存です。

看護専門学校は、その役割である「本県の地域医療に貢献する看護師を供給すること」、これを継続したいと思います。しかし、そのためには安定した経営基盤を確保しなければなりません。2月28日に開催された宮崎看護専門学校運営委員会において、「医療高等課程は平成25年度の受験者数が235名[定員100名]であり、それが年々減少し令和2年度には二次入試時点で受験者数が53名だったこと」「医療専門課程は、平成25年度の受験者数96名[定員50名]に対し、令和2年度は一次入試時点で受験者数が38名だったこと」等が報告されました。このような昨今の受験者の激減を勘案し、特に医療高等課程の定員数の適正化等については真剣に検討しなければならないと思っています。

検査センターは、新体制では医師会病院検査科とタイアップすることになります。両者はセパレートされた組織ではなく、夜間や休日の業務、また当直体制等で、意思疎通を密に連携し、効率化を図らなくてはなりません。また、会員医療機関を訪問し当センターのメリットをアピールする等、検査受託を増加させる更なる営業努力も必要でしょう。

検診センターは、8月から医師会病院の「健診部門」として病院組織図に組み込まれます。しかし、一番の目的が「地域住民の健康寿命延伸への貢献」であることには変わりありません。半日ドックの利用者も増えており、所長一人では負担も大きく、是非ともサポートする医師を1名招聘したいと考えています。また、MRIを活用した脳ドックの充実に加え、新たに本会独自の心血管ドックも開設し、住民の健康志向のニーズに応えたいと思います。

宮崎市中央東・檍北地域包括支援センターは、3月末をもって業務を社会医療法人善仁会に委譲しました。平成18年からこれまで、吉田管理者始めスタッフは、医療・介護・福祉など様々な側面から、地域の高齢者を総合的に支えてきました。4月からは、宮崎市郡全体の地域包括ケアシステムの充実のため、追って設置する「地域包括ケア推進センター」において、在宅医療や地域の福祉に関するサポートを担ってもらいます。

事務局は新体制下では、本会全体の経理や人事をコントロールすることになります。会員の先生、行政、大学他との窓口・玄関であることを自覚し、本会の会務を俯瞰的に統括することになります。

今後の地域医療は、地域医療構想、医師の働き方改革、医師の偏在対策、これらをいかに推進させるかに掛かっており、そのためには、地域の実情をリアルタイムで正確に判断することが肝要です。本県の医師不足・看護師不足・介護士不足の状況下、限りある医療資源は、効率的に活用するしかありません。県下に10ある医師会(大学を含む)と、患者流出入、広域大規模災害対策、医師確保等について意見交換しながら、宮崎東諸県圏域の医療提供体制の充実に努めたいと思います。

当執行部は、平成25年から本会諸施設の新築移転事業に取り組んでまいりました。現在の4期目で、任期は本年6月の定時総会までとなりますが、移行に伴う予期せぬ事態に適切に対応するためにも、8月からの新体制がある程度軌道に乗るまでは、引き続き会務に係ることが責務ではないかと考えております。会員の皆様のご支援ご協力を何卒宜しくお願い申し上げます。

令和 2年 4月 1日