心臓リハビリテーションについて CardiacRehabilitation
心臓リハビリテーションとは
心臓病の患者さんが低下した体力を回復し、精神的な自信を取り戻して、社会や職場に復帰し、さらに心臓病の再発を予防し、快適で質の良い生活を維持することを目指して、運動療法、患者教育、生活指導、カウンセリングなどの活動プログラムに参加することです。つまり、心臓病の患者さんが快適で質の良い生活を取り戻すための総合プログラムです。
心臓リハビリテーションにより期待される効果
- 一時的に体力が低下した状態から運動を行う事により体力が回復して楽に動ける
- 狭心症や心不全の症状が軽くなる
- 動脈硬化のもととなる危険因子(高脂血症、高血圧、糖尿病、肥満)が軽くなる
- 血管が自分で広がる能力(血管内皮機能)や自律神経の働きがよくなるとともに、血栓ができにくくなる
- 不安やうつ状態が改善し、快適な社会生活を送ることができる
- 心筋梗塞の再発予防や突然死が減り、死亡率が減少(3年間で約25%の死亡率低下)
心臓リハビリテーションの対象となる主な疾患
- 急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症など)
- 狭心症
- 冠動脈バイパス術後
- 開心術後
- 大動脈疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管術後など)
- 慢性心不全
- 閉塞性動脈硬化症
心臓リハビリテーションの実際
当院の心臓リハビリテーション室は、平成18年4月に心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)施設として認定されました。当院の心臓リハビリテーションでは、急性心筋梗塞、狭心症、心不全、心臓外科術後、末梢血管疾患の患者さんを対象に、早期離床、早期退院、早期社会復帰を目的に心臓リハビリテーション指導士を取得した医師、看護師、理学療法士が中心となって主に急性期〜回復期前期(入院期)心臓リハビリテーションを提供しております。
当院の心臓リハビリテーションの特徴は、病棟では循環動態の悪化や不整脈の出現に注意しながら深呼吸や排痰練習、基本動作練習(寝返り、起き上がり、端座位、立位、歩行)などの早期離床と日常生活動作(ADL)の獲得を目的とした運動療法を実施しています。
心臓リハビリテーション室では、ストレッチ運動やレジスタンストレーニング、自転車エルゴメーターやトレッドミル歩行といった有酸素運動で持久力を養うトレーニングを実施しています。また、退院後の再発予防や日常生活がスムーズに行なえるよう運動指導や生活指導、栄養指導、服薬指導など多職種による患者教育も提供しています。
心肺運動負荷試験 cardiopulmonary exercise test;CPX
運動中の心臓の機能・肺の機能・骨格筋の機能などを同時に測定する検査です。呼気ガス分析装置により1分間に酸素をどのくらい吸っているか、その時二酸化炭素をどのくらい吐いているかなどを測定し、運動能力・心肺機能の指標である嫌気性代謝閾値(AT)などを算出します。
また、心電図により狭心症、心筋梗塞、その他の心疾患の有無や程度を判定することが出来ます。それによって心臓のポンプとしての予備能力もわかり、心不全の程度を評価出来ることから、運動療法を取り入れた心臓リハビリテーションの負荷試験としても実施しています。
この検査のもう一つの特徴は心臓に病気をもっている方や高血圧・糖尿病で運動療法が必要な方などが心臓に負担をかけずに安全な範囲で運動を楽しめる運動の強さを知ることが出来ます。